建築の仕事にはどんな種類がある？建築士・デザイナー・設計職の違い

「建築の仕事」と聞いて、あなたは何を思い浮かべますか？

建物を建てること、図面を描くこと、設計すること…実は、建築業界にはさまざまな専門職が存在し、それぞれに異なる役割があります。

この記事では、建築士や建築デザイナーの仕事内容の違いをわかりやすく解説しながら、建築に関わる職業の幅広さについて詳しく紹介していきます。

これから建築分野を目指す方にとって、進路選択のヒントが詰まった内容です。

建築の仕事とは？

建築の仕事というと、真っ先に「建物を建てること」を思い浮かべる方も多いでしょう。

もちろん、それは建築業界の中でも重要な工程の一つですが、実際にはもっと広く、もっと奥深い領域が広がっています。

建築＝建物を建てるだけではない

「建築」と聞くと、多くの人が「家やビルなどの建物を建てる仕事」を思い浮かべますが、それは建築業のごく一部の側面に過ぎません。

実際の建築の仕事は、企画・設計・施工・監理・維持管理・解体といった多くの工程から成り立っています。

その一つ一つに、専門的な知識や技術を持ったプロフェッショナルが関わっているのです。

建築士は、住宅の設計図を描くだけでなく、施主との打ち合わせや図面への反映、現場の監理なども行います。

また、空間デザインを手がける建築デザイナーや、都市開発に関わる都市計画プランナーなど、職種によって業務やスケールも異なります。

多様な職種がある

建築業界には、「建築士」だけでなく、「構造設計士」「設備設計士」「施工管理技士」「インテリアデザイナー」など、数多くの職種があります。

それぞれが専門分野を担い、連携することで一つの建物を完成させます。

また、デザイン性や機能性、安全性、法的要件、コスト、納期など、さまざまな条件を同時に満たす必要があるため、個人ではなくチームで取り組むのが基本です。

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建築士の仕事内容

建築士は、建築業界の中でも特に中核となる専門職であり、「建物をつくる」プロセスにおいて非常に大きな責任と役割を担います。

ここでは建築士がどのような仕事をしているのか、6つの主要な業務を通して詳しく見ていきましょう。

建物の設計図面の作成・修正

建築士の中心的な業務は、建築主の要望をもとに、設計図を作成することです。

住宅や商業施設、公共施設など、建物の目的や立地に応じて、空間のレイアウト・構造・設備配置などをプランニングし、CADやBIMといったソフトを使って図面化していきます。

この設計図は、建築確認申請や施工の際に使用されるため、ミスは許されません。

法規に適合しながら、美しさや機能性も兼ね備えた設計が求められ、非常に高度なバランス感覚が必要です。

建築基準法や法令に基づいた確認・申請業務

建物を設計する際には、建築基準法をはじめとした多くの法令への適合が求められます。

建築士は、これらのルールを踏まえて設計を行い、各種申請書類（建築確認申請・開発許可・中高層建築物届出など）を行政に提出します。

法令違反があると設計や工事がストップしてしまうため、建築士には法律知識と実務経験の両方が強く求められるのです。

建築主（クライアント）との打ち合わせ・ヒアリング

建物の設計は、建築主のニーズを正確に汲み取るところから始まります。

「何のために建てるのか」「予算はいくらか」「どんな雰囲気を求めているか」など、ヒアリングを通して理想を具現化するのが建築士の役割です。

言語化されていないイメージを図面に落とし込むためには、高度なヒアリング力と表現力が必要です。

打ち合わせの中でプレゼン資料や模型を使って説明する機会も多く、コミュニケーション力が設計力と同じくらい重要な仕事と言えるでしょう。

施工会社との連携・設計意図の伝達・調整業務

設計図が完成したら、次は施工会社との調整が始まります。

「どう工事を進めるか」「この部分はどう施工するか」といった具体的な内容を、施工者とすり合わせていきます。

この時、設計図だけでは伝えきれない意図を図面外の補足や現場指示で伝達する力が必要になります。

また、現場で発生する変更やトラブルにも柔軟に対応し、設計と現場の橋渡し役として調整力が求められます。

建築現場の監理

建築士は、実際に工事が行われている現場にも足を運びます。

工事が図面通りに進んでいるか、材料や施工方法が適切かを確認するために、定期的な現場監理を行うのです。

建築現場では、ちょっとしたミスが後の安全性に大きな影響を与えるため、細かい部分までチェックし、設計通りに仕上げるための管理能力が求められます。

建物完成までの品質・コスト・スケジュールの管理

建築士は、品質（Quality）、コスト（Cost）、スケジュール（Schedule）の「QCDバランス」を管理する役割も担います。

設計変更による予算オーバーを防ぎ、スケジュール遅延を最小限に抑えることは、建築主からの信頼を得るうえで欠かせない要素です。

複数の利害関係者（施主、行政、施工会社など）との調整を円滑に進め、最終的に建物を予定通り・予算内で高品質に完成させることがゴールです。

建築デザイナーとは？

それでは、建築デザイナーとはどのような仕事なのでしょうか。

建築士・設計職と違い、資格不要の職業

建築デザイナーとは、建物の意匠（デザイン）や空間構成を担当する専門職です。

建築士との違いは、国家資格を必要としない点と、より感性・芸術性が重視される点にあります。

建築デザイナーは、住宅やオフィスビル、商業施設、公共建築物などのデザイン面に特化して、空間の美しさやブランドイメージを創出する役割を果たします。

クライアントと打ち合わせをしながら、コンセプト設計や素材選定、照明計画なども行います。

中には、設計事務所やゼネコンのデザイン部門に所属している人もいれば、独立してフリーランスで活動する建築デザイナーも多く存在します。

建築士とチームを組みながらプロジェクトに参加するケースも多く、実務上は両者の連携が欠かせない関係性です。

建築士に似た仕事7選

建築士以外にも、建物づくりに関わる仕事は数多く存在します。

ここでは、建築士と関連性の深い職種を7つ紹介し、それぞれの特徴をまとめます。

1. 構造設計士

建物の「骨組み」を設計する専門家です。

地震や台風などの自然災害にも耐えられるよう、構造計算を行います。

建築士と密に連携しながら、安全性と設計の意匠を両立させる役割を担います。

2. 設備設計士

空調・照明・電気・給排水といったインフラ部分を設計する職種です。

人が快適に過ごすための機能設計を行い、見えない部分から建物の使いやすさを支える仕事です。

3. インテリアデザイナー

内装、家具、照明、カラーリングなど、建物の中の世界観を作る専門家です。

設計士や建築デザイナーと協力しながら、空間の雰囲気づくりに特化しています。

4. 都市計画プランナー

建物単体ではなく、街づくりや都市開発全体に関わる職業です。

再開発や駅前整備、街の景観管理などを通じて、地域の未来を構想する仕事です。

5. 施工管理技士

実際の工事現場を取り仕切る現場監督です。

工程、安全、品質、コストなどあらゆる面を管理します。

職人と設計士の間に立ち、現場を円滑に進めるキーパーソンです。

6. 空間プランナー

店舗やイベントブースなど「一時的・商業的空間」の設計に特化した職種です。

集客やブランディングに直結する空間演出が得意分野です。

7. 建築パースクリエイター

建物の完成予想図（パース）をCGや手描きで描くビジュアル担当者です。

クライアントへの提案資料やコンペなどで、視覚的な説得力を与える重要な存在です。

まとめ

建築の仕事は、一人で完結するものではなく、複数の専門職が協力して成り立つ「チームプレー」です。

建築士をはじめとする各職種が、それぞれの専門性を持ち寄って、建物という「かたち」を生み出しています。

自分がどんなポジションで建築に関わりたいのか、資格が必要なのか、感性重視か論理重視かなど、進路を考えるうえでの軸は人それぞれです。

まずは、自分の興味や得意分野と照らし合わせながら、将来のキャリア像をイメージしてみましょう。

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